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無題②

 いやはや、手直しまったく無しってのは、少々辛い・・・。
ってなわけで、表現くらいは手直し入れたりして進めていきたいと思います。
大幅な手直しは今のところ考えておりません。

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 「父さん、今度の日曜日、どこに連れて行ってくれる?」
「そうだなぁ。水族館にでも行くか」
「本当?」
「本当だとも」
「本当だね、約束だよ」
 少年―――、いや、少年だった頃の俺は前方にスキップしたあと父親のほうを振り返った。
「!?」
 父親が、さっきとは想像もつかないほど恐ろしい顔をして俺に近付き、いきなり俺の首を締める。苦しさのあまり硬く目を閉じ、心の中で叫んだ。
――― 父さんやめてよ。苦しいよ。父さん!―――
「と ――― さん ――― くる ――― し ――― い」
 そしてわずかに開いた目に一瞬映ったのは、まったくの別人だった。
――― 違う。父さんじゃない ―――
「たす ――― て ――― と ――― さん ―――」
 薄れる意識の中、もはや苦しさすら感じなくなりかけた時、遠くで別の声が聞こえた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」
――― 誰だ?お兄ちゃん?俺のことか?俺には妹なんか ―――
 急激に引き戻される意識。突然開けた目の前にいるのは見知らぬ少女。
「お兄ちゃん!!」
 そう言って今なお身体を揺らす少女の手を払い除け俺は叫んだ。
「誰だ、お前!」
 少女は何も答えない。俺は気持ちを落ち着かせ、もう一度少女の顔を見た。そこには呆気に取られた顔でこちらを見る敏子がいた。
「としこ―――」
 俺はそれ以上言葉が出なかった。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「え?あっ、その―――」
 弁解の言葉がない。何しろ義妹に向かって『誰だ、お前!』と叫んだのだから。
「うなされてたよ。大丈夫?」
「あ、ああ。なんともない。ありがとう」
 そう言って俺は敏子の頭を軽く撫でた。
「もう!子供じゃないって!!早くしたくして学校行かないと遅刻するよ」
 敏子は怒った口調とは裏腹にうれしそうな顔をしていた。部屋を出て行く間際に思い出したかのように立ち止まり振り向いた。
「あ、さっき電話があったんだけど、バイトの新聞屋さんが、無断欠勤したってカンカンだったよ。風邪ひいて寝込んでるって言ったら、初めてのことだし多めに見るけどそういう時は連絡して下さいだって。感謝してよ」
 そう言って、いかにも貸しを作ったと言うようにウインクをして軽やかに部屋を出て行った。俺は少し呆気にとられたあと、バイトのことをすっかり忘れていた自分に喝を入れるように両手で軽く頬を叩いた。

 6時間目終了のチャイムが鳴り終わり、皆があわただしく教室から出て行く。
「さぁ、輝!行くぞ!!」
 俺は輝の肩を叩き部活へと誘った。
「んー」
 いつものように気の抜けた返事が返ってくる。その時、「あの~」と後ろから肩を叩かれ振り向くと、河崎浩子が立っていた。
「あのぉ、少しお話したいことが―――」
 俺は驚き、カバンを落としそうになった。
「えっ?でも、俺、今から部活で―――」
 女子にこんな風に声をかけられたのは初めてだったので、どう答えていいのかわからなかった。誤解されては困るが、別に俺がモテなかったと言うわけではない。自分で言うのもなんだが、この顔にこのスタイルはまんざら悪くないと思っているし、女子からはよく声をかけられる。が、出会って二日目で、しかも一目惚れの相手に声をかけられるなんて想像もしていなかった。必要以上に緊張し、しどろもどろする俺の首に輝が腕をかけ軽く締め言った。
「よっ、色男!スカート掴んだのが愛の始まりか?お前にはちょっともったいないけど、仕方ないなぁ。オッケーしちまいな」
「あ、ああ―――」
 輝のその言動に俺は最初、照れ笑いしていたのだが、次の瞬間心が一変して凍りついた。
「どうした?早く返事してやれよ」そう言って首に巻きつけていた輝の腕が少し強くなったことで、今朝の夢が鮮明に思い出されたのだ。
「離せ!!」
 気が付いたときには、輝は床にしりもちをつき、俺の顔を見つめていた。
「ゴメン」
 俺は一言謝り、静かに手を差し伸べた。
「どうしたんだよ。いきなり」 
 俺は何も言えなかった。
「まぁ、可愛い彼女の前だ。しょうがないか」
 場の雰囲気を和ませるような口調で再び茶化し始めた。
「何!!」
「冗談、冗談。やっといつもの仁に戻った。俺、先に行ってるからな」
「ああ」
 輝は頭の回転が良く、そして優しかった。そんな輝に俺は感謝した。やがて教室の中は、俺と彼女の二人っきりとなった。
「と、ところで話って、何?」
 俺は、照れ隠しに少し面倒臭そうに尋ねた。

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