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無題①。(そのうち考えますわ)

 なんだか無性に、小説をUPしたくなり、
けれど、今更新しいものを書く気までは起こらず、
それでも押さえきれなくなってしまったので、
書いてみました。

高校のときに書いた小説。
めんどくさいから、誤字脱字以外ほとんど手直しなしで載せていきます。
原稿用紙50枚くらいの短編推理小説?
正確には推理小説を書きたかった小説。←なんじゃそりゃ
展開がイマイチどうやっていけばいいのか分からず、
無理やり仕上げた感じもある、
初々しい作品。
数回に分けて連載します。
まぁ、暇つぶしに読んでって。

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  まな板、包丁、乱雑に置かれた食器のある台所。六畳二間の古い家。
――― 一体ここはどこだろう ―――
四,五歳の少年が一人で遊んでいる。横で寝ているのは、その子の父親だろうか。だいぶ酒に酔っているみたいだ。
「うるさい!!」
 少しくらい子供のおもちゃの音が騒がしいからって、何もそう怒鳴らなくても ―――。
しかし少年は気にしていない。聞こえないのだろうか。その時、父親が立ち上がり少年の襟を掴み上げた。そうとう酔っているらしい。足元がふらついている。あっ!父親の手のひらが高く上がった。殴られる。逃げるんだ。体当たりでぶつかれ!そうだ!!
 少年は二,三歩後ろへ下がった。父親は後ろへよろけていく。
何だろう。後ろで何か光っている。あっ、いけない!それ以上!!
「うわーぁ!!」
 父親の叫び声に少年は驚いた。父親はそのままうつ伏せに倒れた。背中には包丁が深く刺さっている。
――― 逃げろ!逃げるんだーっ!!―――

 「いっていきまーす」
 俺、日暮仁。十八歳、高校三年生。今から十二年ほど前、この家に引き取られたらしいのだが、まったく覚えていない。と言う義親不孝な息子である。
 家族は義母の時子と俺と義妹の敏子の三人暮らし。義父は敏子が生まれる前に事故死したらしい。
 義母は昼間は近所のスーパーでレジをし、夜は造花作りの内職をしている。義妹はこの春、女子高に入学した。そして俺は ―――。

 「オッス、仁!」
 こいつは俺がここへ来てからの友人、輝だ。
「んーおはよー」
「元気ないなぁ。どうしたんだ?」
 輝は俺の背中を強く押した。危うくこけそうになったが、何とか体勢を立て直した。
「おい、大丈夫か?」
 俺の顔を覗き込む輝に思いっきり『あっかんべぇ』をしてやった。輝は姿勢を戻し、咳払いをひとつして言った。
「仁、お前最近おかしいぞ。やっぱ無理なんじゃないか?部活とバイトの両立」
「ん?」
「水泳部入っててただでさえ疲れるのに、毎朝、それも朝早くから牛乳配達なんて―――」
 そう、俺は去年の夏から牛乳配達のバイトをしている。敏子を高校へやるためにはお金がいる。義母ひとりでは大変だ。そう思って軽い気持ちで始めてみたが、現実はそう甘くはない。現に輝の言うとおり部活とバイトの両立は非常に疲れる。かといって今更辞めるわけにもいかず ―――。
「バイトなんて辞めちまいな。お前ひとり牛乳配達やっていようがなかろうが、家の収入たいして変わんねぇだろ?」
 輝がぶっきらぼうに言った。
「そんなこと ―――!」
 あるんだよな。でも ―――。
「今更やめるわけにもいかないかぁ」
「あっああ」
 俺には答えようがなかった。

 「あっ、いっけねぇっ。数学の教科書忘れたぁ」
「二組、今日数学あるぞ」
「おっ、サンキュー」
 俺は素早く席を立った。チャイムが鳴るまでにと教室の扉を開けたその時、一瞬足が宙に浮き、目の前が真っ白になった。
――― どうしたのだろう?――― 
「キャァーッ」
 後ろの方で女子の叫び声が ―――。だんだん遠くなる ―――。

 「ん?ここはどこだ?」
 霧で前がよく見えない。誰かいる。ナイフを持って俺の左手首を―――。殺す気か?ああ、気が遠くなる。
「誰か!!」
 声にならない。このまま死ぬのはいやだ!!
――― 声が聞こえる。
「仁!仁!!」
 しだいに声は大きくなった。
「仁、仁!!ああっ!やっと目を覚ました。大丈夫か?」
「えっ?」
 俺は、ベッドに寝ていた。傍には輝と、見たことのない女子が立っていた。
「だいぶうなされてたぞ」
「あっ、ああ」
「疲労と、睡眠不足だそうよ」
――― 俺は一体?―――
 教科書を借りに教室を出ようとした瞬間、体が宙に浮いて―――。
 「本当に覚えてないのか?」
 光るが呆れた顔で言った。そして説明してくれた。
「――― それでお前は、その転校生のスカートの裾を握り締めたまま、その場で意識不明」
 疲労と睡眠不足で倒れるとは情けない。そう思いつつ顔を上げた。
「彼女がその転校生」
「河崎浩子と言います。よろしく」
「よ、よろしく」
 身長一六三センチくらい、中肉中背。色白で、そして一番印象的なのは、くっきりとした大きな目。俺好みのタイプ―――。
「仁!何じぃっと見とれてるんだ?」
 俺は自分で、自分の顔が赤くなるのがわかった。
「じゃぁ私、先生に呼ばれてるから。お大事に」
 そう言って彼女―――河崎浩子は保健室を出て行った。
「おい、いつまで、どこ見てんだよォ。もう行っちまったぜ、彼女」
 俺は、ハッとした。
「仁、お前、彼女に一目惚れしたな?」
 輝が俺に顔を近づけて言った。
「ちっ、違うよ!!」
 俺は、この否定の言葉に自信がなかった。
「おい、それよりさっき、左手首をサポーターの上から握り締めて苦しそうにしてたけど、どうかしたのか?」
 輝が急に真剣になった。俺は思い出したかのように左手首のサポーターを見た。ナイフでパックリ切り裂かれた手首は、どんなに押さえても出血が止まらない。そんなさっきの夢が重なり、俺は慌てて首を振った。
「いや、なんでもない。悪い夢でも見てたんだろ」
 そう言ってごまかしてはみたが、俺の動揺は治まっていはいなかった。なぜならこのサポーターの下には身に覚えのない、大きな傷跡があるからだ。
 その時入り口の戸が開いた。
「あら、日暮君。今日は水色ラインのサポーターなのね」
 養護の先生だった。
「顔色も良さそうだし、午後からの授業大丈夫そうね。さぁ、二人とも、早く教室に戻らないともうすぐチャイムが鳴るわよ」
 俺たちは、保健室を追い出された。

 その日俺は部活を休み、家に帰るなり風呂に入ったあと、無理やり夕食を詰め込むと
さっさと自分の部屋に入り布団にもぐった。目をつむると昼間のあの夢を思い出す。
――― なぜ、あんな夢を?この傷と何か関係があるのだろうか?―――
 俺は、左手首にある大きな傷跡を指でなぞってみた。
 俺はなぜだかこの傷跡を見るのが怖い。だからいつもサポーターで隠している。友達は気にしすぎだと言うが、とにかく見ていたくないのだ。しかし今日は違う。何より、昼間の夢が気になって仕方ないのだ。
 俺はいつの間にか眠りに入った。その時はまだ、あの夢がどういうことを意味しているのか考えもしなかった。

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続き

 

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コメント

こういう、過去のなぞをたどるようなお話、すきです。自分にはなかなか書けないー

投稿: ぐるりぐら | 2009年5月25日 (月) 15時59分

そう?好き?
ありがとう。
ただ、せっかく読んでもらってるのに申し訳ないのだが、
このあとガックリさせる内容になっていく…はずなんだわ。
だから、期待しないで読んでね。

投稿: ぐるへ | 2009年5月31日 (日) 00時54分

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